おにぎりとモダン焼き

お題「おばあちゃんの思い出」

おばあちゃんの作るおにぎりが好きでしょうがなかった。つやっつやのやつ。お米のポテンシャルの高さ。めっちゃいいお米だったんだろうなぁ。それにね、練り梅を入れてくれて、これまためちゃめちゃ美味しい味のりで巻いてくれるの。あんなに美味しいおにぎりを私は知らない。

中学生になった頃、従姉妹とおばあちゃんちに月一で集まってお泊まりするようになってたんだけど、いつもおばあちゃんがおにぎりを作ってくれるわけよ。ご飯がおにぎりだけなの?って思うかもしれないけど、本当にあれはご馳走だった。いや、他におかずあったのかもしれない。でも私おにぎりのことしか覚えてない。ごめんおばあちゃん。それがある日、「ご飯するのしんどいから今日は外に食べに行ってもいい?」って聞かれたことがものすごく衝撃だった。え?ご飯作るのしんどいの?用意をすることが?どこか痛くなるの?って。その頃はまだ両親も若いし、そうやって老いからくる疲労感みたいなものが全く想像付かなくて、先月は普通に作ってくれたのに今日はそれがもうできなくなるんだって怖くなって。後片付けとか掃除は私たちがしてたけど、今までも本当はしんどかったんじゃないかとか、こうやって私たちが泊まりにくることも負担なんじゃないかとか色々考えちゃって悲しくなったのを覚えてる。

近所のお好み焼き屋さんに行って、おばあちゃんが「モダン焼きでいい?」って聞くから当たり前にモダン焼きを食べたけど、実は初めてだった。うちの母は「お好み焼きと焼きそばは別々に食べたい。モダン焼きは邪道」なタイプなので食べさせてもらったことがなかった。値段をチラ見して、当たり前だけどちょっと高いんだ、と感心した。だからモダン焼きは大人の味だった。ちなみにその時初めてお皿とお箸を使わずに鉄板から直接コテで食べた。おばあちゃんがそうしててなぜかすごく上品に見えて、尚且つあまりにもかっこよかったので真似してみた。大人になった。

 

そんなお好み焼き屋さんの前を数日前に通ったらカレー屋さんになってた。もう一回だけ、大人になった今モダン焼きを食べておけばよかったなと思った。あの中学生以来、あのお店以来、私は一度もモダン焼きを食べていない。