ラストレター
「もうそろそろ死ぬかも」
「またそんなこと言うー!」
っていうやりとりを何回も繰り返した末に慣れきって、その言葉で不安にさせることもなくなった頃ポックリいけたら最高だなと思う。「マイフレンドフォーエバー」みたいに。ちなみにあの映画で私は生まれて初めて声を出して泣いた。ラストのシーンが堪らなく辛かった。なんでそんなことするの、と苦しくてこれでもかというくらい泣いた。「ああいうこと」が私は一番怖いし絶対にできない。
死は近くて遠い。遠いから、直接だと実感もないしあまり感情も動かないんだけど、誰かの気持ちを介すと途端にそばまで寄ってくる。
数日前、親友の命日だった。別にそんなしんみりすることでも悲しみに暮れるわけでもなく。でも、彼女が亡くなってから、ちゃんと成長できる人間でありたいなぁと思うようになって毎年彼女の誕生日や命日には自分を見つめ直すようにしてたんだけど、今年はやっと自分を褒めてあげられる年だった。
私いろんなことがわかるようになったよ、たかやん。理解できない感情を苛立ちで捩じ伏せたりしなくなったよたかやん。
世の中には私が30数年間かけて掻き集めたものを総動員させてもまだまだ想像のつかない思考回路があって、ここ数年で集めた意味のないように思えた全てが繋がって光になったよ。
私は私を守るために内へ内へと篭ってたいけど、それでも新しい出会いの中に学びがあったことは人生にとって大きな喜びだと思ってる。
みんな考え方や感じ方が違っておもしろい。でも人は嘘をつくから見えるものも見えなくして興味を持てなかったんだけど、今はちゃんと私が気になったことや不思議に思ったことに本音で答えてくれる友達がいるからそれが趣味みたいになってる。
正直亡くなってから寂しいとか悲しいなんて思ったことは一度もないけどきっとものすごく思い出してはいる。もし生きてたら誰の音楽をよく聴いてたんだろうなって考える。なんでも聴いて、なんでも知ってないと気が済まない性格だったからあのまま歳をとってたらきっと大変だったね。
死ぬってなんだろうねぇ。別に何も変わらないもんね。私たちは今でも友達だし。ただ確かめようのない日々がこれからも続いていくだけ。