思い出というやつ

記憶を探すという行為

この間あるところで「ナインハーフ」って文字を目にした瞬間、私の意思とは裏腹に、その記憶を探そうとして急に動き出したのを感じた。 こう、うわーって血が巡る感覚っていうか。私はただ何もできずにじっとしてるんだけど、脳が勝手にページをめくってる、…

真実がどこにあるのか確かめようのない話

子供の頃、我が家では所謂「お教室」というものをしていた。そのため週に二日、夕方からの数時間は玄関が開けっ放しだった。 その日、最後の生徒さんが帰った後玄関を閉めるように言われた私はたしか10歳くらいだったと思う。玄関に出たと同時に子供を抱いた…

一億円と日本刀

昔一緒に働いてた子が、 「ベッドの下に一億円と日本刀隠してる話ばっかりするお客さんおったなー」 なんて言うからびっくりした。なんでその話私知らないの? 「もうな、その話ばっかりすんねん。奥さんは女医さんやねんて。自分は働かんでも美人の奥さんが…

殺し文句を持つ男

坂田くん(仮名)の話をしよう。坂田くんとは、私が専門学生時代に出会った男性である。初めての出会いはきっとステージングの授業。好きな曲をアカペラで歌いながらいかに魅せるか、というもので、楽器が演奏できる人は用意されたものを使ってもよかった。流…