末永くお幸せに

十年くらい前に人の幸せは私がはかれるもんじゃないな、と気付いたんです。よく奥さんがいる人を好きになって「絶対幸せになれないよ」とか、泣かされてばっかりの人に「絶対もっと幸せにしてくれる人いるよ」なんて声をかけることはドラマでもよくある展開だけども、結局今好きでしょうがないのは、欲しくてしょうがないのはその人なわけでその人なしでは幸せなんて無いに等しいのよね。だからもう、言ってしまえばバカみたいな恋愛だったとしても、何も残らないどころか身を削るような恋愛だったとしても、どうしようもない。でも端から見てると「もうそんな恋愛やめてしまった方がよっぽどラクなのに」と思うことがあるのも事実で。今日はそういった女性たちのお話です。


私個人としてはどれだけ甘い言葉を吐こうがどんなサプライズをしようがどんな高価なプレゼントを用意しようが日々のことを疎かにする人はもうだめだ。毎日の当たり前のことを当たり前にできる人が最高だと思ってる。だからまぁ、基本的なところだと連絡が取れなくなるだとか、相手を否定するようなことを平気で言うとかは「はあああああああああ?」って全力で顔を歪ませてしまうんですが、そんなことにも耐え忍ぶ人の多いこと。
もう別れたら?って今まで何回言ってきたかわからないけど、とりあえずは言うことにしてる。簡単に手を離せないのもわかるし、頷くわけないのもわかってるんだけどとりあえず周りからの意見として、失うものの方が多いように思えるよっていう警告。でも多分本人もわかってるのよね、その時点で。ちゃんと理解してる。バカな男に引っかかってはいるけどバカなようでバカじゃない。いや、私から言わせるとバカでしかないんだけど。呆れるくらいバカなんだけど。
何かある度に電話で話を聞いたり、会いに行って泣いてるのを宥めたり、そんなことを繰り返してきたんだけどある日ふと思ったのね。これって私が悪なんじゃないかって。どうしようもなく不安になっても電話すれば私が捕まる。夜中でも私が会いに行く。最初は別れたら?って言いながらも結局は大丈夫よって慰める。そういう存在があるからその恋愛を続けられるんじゃないかって。「あいつを殺して」っていうくらい憎いのに別れたくないって泣き喚いて執着する彼女を見てたら酷く哀れで。私はいろんなことを諦めた結果、否定しないという結論に至りました。相手の人のことは一切責めず、大丈夫だよ愛されてるよ、ちゃんと戻ってくるよ、と穏やかにフォローを入れる。するとどうでしょう。


「どっちの味方なん!!!!」


ブチギレてくるんですねー。怖いですねー。
「いや!やめて!なんで突き放すん!」って理不尽にキレてくるんですねー。
別の子もね、私が「その人とずっと楽しく一緒に過ごせたらいいね」って言うようになったらすごく悲しい顔をする。なんなんだ!いや別にキレてるわけじゃなくて。もう諦めただけ。呆れただけ。
そういう恋愛をしてる彼女たち自身は本当に良い子で私は心底勿体無いと思ってたわけです。でもね、割れ鍋に綴じ蓋って言うでしょ。そういうことなんじゃないかって。私にとってはすごく可愛くて魅力的な子たちだから、泣いてばかりの、裏切られてばかりの恋愛をしていることが気の毒で可哀想に思うけど、彼女たちがパートナーについて一様に「頭がどうかしてる」だとか「人の気持ちを考えられない」だとか「最低な人間」などと形容するように、彼女たちにもまた、私には見えていないパートナーに見合った何かを持ち合わせているのだと。そう考えるようになってから少しだけ気がラクになった。もう好きにやってくれ。

疲れたから寝る。