「落下する夕方」を観た

ずーっと長い間、部屋のドアを開けてすぐの棚の上にこの本を置いてたから、題字のイメージがすごく残ってる。それなのに中身をちゃんと覚えてないのはいつものことです。

もう22年も前の映画らしい。知ってる人たちがみんな若かった。不思議な気分。


ボニーピンクが流れるのがすごくよくて、それだけでもう胸がふわーってなった。

原田知世の可愛さ。声変わらない。可愛い。なんてシンプルな褒め方。でも声可愛くて喋り方に品があるのってやっぱりいいよ。それだけで惹かれる。

菅野美穂が可愛すぎてびっくりする。「えー!?」って声出た。あまりの可愛さに。髪の毛長くてくるくるしてて、役のせいか少し舌ったらずな喋り方が充分な甘さを醸し出してて本当に可愛い。

私はオハナホロホロっていう漫画が好きなんだけど、それのあの子みたい(名前を忘れるのもいつものこと)。奔放で、男とか女とか関係ない感じ。誰かのポケットに入りたいっていう、その瞬間だけ安らいでたい気持ちとか守られてたいっていうある意味すごくピュアで子供みたいな気持ちに感心する。私には絶対にない感情だ。「誰かのポケット」なんていう一番落ち着かない場所に私はいたくない。だから今日はこの人にしよーっと、みたいな感じで渡り歩ける人って本当にすごいと思う。人懐っこいというか、物怖じしないというか。彼女みたいにさらっともたれかかってきたり抱きついてきたりするような人に私は弱い。もうその瞬間に求められてるものが何かわかりやすいし、それを私は与えることができる。最近気づいたの。私、何を求められてるのかわからないのってすごくしんどい。迷子になる。だから華子みたいなタイプがすごくラク。抱きしめてあたためてあげればきっとその瞬間安らぐんだろうなって、そうして欲しいんだなってわかるもんね。今近くにいたい気分なんだなって。でも華子は華子でその瞬間守られた気持ちになったとしても心が埋まるわけでもなくて、きっと毎日諦めに近い感情と隣り合わせなんだろうな。

 

私が一番好きなシーンは華子がソファで横になって新聞紙を体に乗せてる(巻き付けてる?)のをリカが見て、「何してるの?」って思わず聞いて「焼き芋ごっこ」って答えるところ。本当に憎めない。可愛い。こういう子大好き。焼き芋みたいにあっためられたかったのかな。

 

海で二人が走り回るシーンよかった。

 

なんとなくだけど、「落ちる」より「落下する」の方が速度を感じて、「夕方」という一瞬ではない曖昧な時間。そんなに長くはないと思いながらも、もう少し余韻があってもよかったじゃない、と思うものが瞬間になくなってしまうこの物語をよく表現されたタイトル。

 

最後に華子と見た夕日を嫌いになるんじゃなくて好きになったってリカが言った時、嬉しかった。

 

 

傷つけられながらケアし合うみたいな不思議なお話。