むらさきのスカートの女/今村夏子

人に執着するきっかけって意外と些細なことだったりするのかな。誰かが誰かを好きだと聞くとどんなところを好きになったの?ってすごく聞かせて欲しくなるんだけど、理由を言える人は少ない気がする。どこが好きか、は言えてもなんで好きになったか、はわからないことも多いよね。

好きな人だから執着するわけでもないし、同性の友達に執着する人もそれなりに多そうだし、それこそ元恋人に執着する人も多そう。

エネルギーそのものよね。

 

恋のような気持ちで執着するのはなんとなくわかるんだけど、そうではない類いの気持ちでのそれは想像し難い。あの人と友達になりたいと思って執着できるもの?相手は自分のことを知らないのに。あ、これだ。私相手が自分のことを知らないのに夢中になることがないんだ。例えばアイドルとか、芸能人とか?本気で恋しちゃう子がいるって聞くけど、相手は自分のこと知らないわけじゃない。私にとってそういう人が恋愛対象になることがないんだけどそれに似てるのかな。どうやって近づこうとか、どうやったらまず知り合えるかとか真剣に考えて実行する感じ。え、怖いな。あまりにも一方的すぎる。そういう企みって怖くない?不気味よね。でもそういう不気味な話でした。不気味なのにカラッとしてた。リアルな生活の中のお話だったからすっと入り込んできて、ラストは「え?え?え?」って一瞬わけがわからなくなった。

今村さんの他の話も読んでみたい。