バイバイ、ブラックバード/伊坂幸太郎

これ、本当におもしろかった。本屋で見つけた時冒頭を読んでおもしろそう、と思って買ったんだけど、裏切られることなくずっとおもしろかった。軽快。

伊坂さんぽくないなって思ったから伊坂作品が好きです!って人にはあんまりだったりするのかな。

何が良かったかって、繭美が好き。いい。大好き。私千原せいじを人間的にすごく尊敬してるんだけど、その感覚に近い。人のため?なんじゃそりゃ。自分のためだけに生きてやるわ的精神。遠慮とか親切とか、そんなものは持ち合わせていない。でも人に興味がないわけじゃなくて情もある。きっと全部が本物なんだろうなと思わせてくれる人。他人にどう思われるかを気にして自分を繕ったり、思ってもないお世辞を言ってみたり、NOとはっきり言えないくせに陰ではそのストレスを誰かにぶつけるような人たちとはまるで違うわけですよ!ちゃんと自分の信念を持って生きてる。

いいなー。カラッとしてるなー。

喧嘩をしたわけでもなく、嫌いになったわけでもなく、でもお別れをしなきゃいけない状況を想像してみた。なんかいろんなことあったなぁって、あんな話したなぁってじわじわ思い出すんだろうなぁ。離れてしまうこと自体が悲しいというよりはその瞬間を輝かしく思ったり、思い出を箱の中にしまう感覚そのものが少し切ないね。

190センチ200キロの繭美、5股中の星野ちゃん。二人の掛け合いもよかったしたまに繭美がめっちゃおもしろいこと言うからニヤニヤしたりもした。

読みやすいし人に薦めたい作品。オススメの小説ない?って聞かれたらしばらくはこれでいこうと思う。

白馬に乗った王子様が、だとか、私を連れ去ってくれる人を待ってる、みたいな乙女な思考は全くないけど「わたしに会いたかったんだろ?お前が寂しくて啜り泣いてんじゃねえかと思って来てやったぞ。ほら、嬉しいだろ、泣けよ」なんて言って目の前に現れたら、笑いながらもときめいてしまうかもしれない。多分嬉しいだろうなぁ。繭美好きだなぁ。恋かなぁ。