はじめからその話をすればよかった/宮下奈都

はじめからその話をすればよかった。
タイトルからいいでしょ、もう。だから私は手に取ったわけで。その後冒頭にさっと目通したらホルモンのせいです、と書かれていた。小説を書き始めたのはホルモンのせいです、と。私この人好きだわって瞬時に思った。だから買った。
それから少し読んでは放置し、を繰り返して結局一年くらい寝かせたと思う。久しぶりに読んだその続きに答えはあった。この間書いた「恋とか愛じゃない感情、及びその名称について」である。いやいやいや、そんなことってある?疑問の答えがふと開いた本の続きにあるなんて、そんなことある?だからこれが運命でしょって!
彼女が読んだ本のことや音楽についても書かれていて、なんだか近くに感じる。私も読んだことのある本や読みたいと思ってる作家さんの名前が出てきたりして楽しい。私はもうこの時宮下奈都さんのことを好きになっているので彼女の目線から見た全てに興味があるのだ。
ちなみに今もうすぐ読み終わる本があるんだけど本当は初っ端で挫けそうだった。簡単に言うと好みの文章ではなくて、中学生が書いたBL小説みたいだと思った。いや、中学生が書きました、と銘打ったBL小説を読んだことはないけどなんとなく伝わってほしい。というか何もBL小説に例えることはなかった。まぁいいか。とにかく宮下奈都さんがその人の別の作品について触れていたのだ。だからなんとなく、とりあえず読み切ってみようと思えた。これも多分運命でしょ。一度や二度運命を感じただけでは人生に関わることはない。この先何度もそれを感じて人生の一部になった時初めて意味を知る。だからそうやって、これからを期待して生きたいな。

気に入ったページはいくつもあるんだけど、59ページの「大事なことは一度だけ」が微笑ましくて好きだ。
『用件は一度だけ、手短に』
でも実のところ、一度だけ、が苦手だ。その一度を逃したらどうしようという不安で気が気じゃない。でも私もそろそろ肝に銘じる時なのかもしれない。

大事なことは一度だけ。
一度だけしか教えてもらえないと思って話を聞いてみよう。