サラバ!(上)/西加奈子

こういうのはきっと全部読み終えてからまとめて感想を書いた方がいいんだろうけど何しろ私の記憶力は頼りにならないので、まずは上巻のおさらいを兼ねて読んだ証を残しておきたいと思う。

読みながら、何度好きだと思ったんだろう。好き…ホンマ好き…と何度も唱えた。もちろん物語として、というか個々のキャラクター性に魅かれてるんだけど、それより何よりやっぱり西さん好きぃー!に辿り着いてしまう。

思想とか性格って家庭環境にも影響されるけど、兄弟でも全く違う場合ももちろんあって、そうなると産まれ落ちた瞬間からそういう星の下での人生が始まってるってこともきっとあるんだろうな。怒るために生まれてきた、とか優しくするために生まれてきた、とか。本当は満遍なくできることがいいのかもしれないけど、何かに特化した人がいてもおかしくないもんなぁ。

私はこの物語に出てくる人たちのことがとにかく好きだ。みんな愛しい。それはきっと私がその渦中にはいなくて外から見てるからなんだろうけど(実際姉のクラスメイトだったら私も例に漏れずいけ好かないと思ってるはず)、みんなの生きるというエネルギーを感じられるそのことが何よりも真実に一番近いところにある。

ちなみに266ページあたりから泣いてしまった。誰かの存在が、言葉が、自分たちを、そして世界をも繋ぐ力を持つことの美しさ。とても神聖なものに感じた。

ちょうど前の日にね、「魔法の言葉」について話してたのもあって、ものすごくリンクしてしまったんだと思う。なんでもない文字列もそれを共有する相手によってすごく力が宿るしお守りみたいになったりするよね。私の中では名前を呼びあうことがそれに近いものになってる気がする。

好きだと思った人に対しては知れば知るほど好きになるタチなので、読めば読むほど西さんのことを好きになってしまう。西さんの作品読んでるといつも起こる現象なんだけど、大阪弁で話す女の人の実写、脳内で西さんにしがち説。ラジオで喋ってるところを聴いてたのもあるし、なんかもう、言葉が西さんのそれなんよね。

もう、とにかく好きってことです。