花の鎖/湊かなえ

「驚きのラスト 傑作のミステリ」と帯にはある。そういうもんなんだろうけど、驚かされる気満々でいたので、また「あれ…?で、なんやったん?」現象である。いや、途中まではしっかり理解してたし把握してたよ!でも最後の十数ページくらいでいきなりダッシュして置いてけぼりを食らった気分。

で、なんとなく初めに戻ってさっと読み直してみたら、もう既に忘れてるような細かい描写が今はしっかり深く残ったりして、もしかしてもっといろんなことが書かれてたのかもしれない!と楽しくなってるところ。結局興味を持ってないと覚えてられないわけで、一通り物語を読み終えて結末がわかった今、「あの人はどんな人だったんだろう」って知りたい気持ちが芽生えてるからさらっと読んでた部分も二回目はちゃんと残りそう。

“切符の券売機に小銭を入れるのももどかしい”という怒りの表現がシンプルでありながらとてつもなくリアルに伝わってきて、私の手が震えそうだった。

あと美雪ちゃんがとても愛らしい。雪・月・花、とそれぞれ主軸になる人がいて物語が進んでいくんだけど、美雪ちゃんは本当に守ってあげたいし助けてあげたくなった。

それから一日一頼み!これ、すごくいい。お互いに毎日一つ何かお願いをするっていう決まりごと。やってみると意外と難しくて一週間ももたなさそうだけど、二人を繋ぐのにはいい手段な気がする。でも終わってしまうのもこれがきっかけになりそうで怖さもある。私がネガティブなだけかな。

あれ、今頭の中で物語を整理してたらややこしくなってきた。これまた相関図書いて一人で納得して盛り上がるパターンだ。近々これをして楽しみたいと思います。

最後に。一番好きなのは第六章月の決意での「だって、花を買ってきているんだもの。お父さんと同じ」のくだり。